遺品整理から得られること
百貨店地下食料品売場、いわゆる「デパ地下」が活況で、2001年度の全国百貨店食料品の既存店売上は5年ぶりにプラスに転じています。
「食のテーマパーク」をコンセプトに開発され「デパ地下」ブームの火付け役となった東急百貨店のフードショーは、東横店から札幌店、町田店、吉祥寺店等にも拡大。
三越もフードガーデンの多店化を進行。
中食市場の拡大も追い風となり、老舗惣菜店や人気の菓子店、ベーカリー、ワインショップ等を導入して食品売場のファッション化/エンターテイメント化を進める百貨店が相次ぎました。
「デパ地下」と同じく好調だったのが高級スーパーです。
クイーンズ伊勢丹の2002年3月期の売上は352億円と前期から19.3%増。
オーガニック製品や無添加・減農薬等、安心商品にこだわった西武百貨店系のザ・ガーデンも首都圏で多店化中で(2002年10月末時点で百貨店インショップを含んで16店)、東急ストア系のプレッセも好調です。
百貨店系のみならず量販店でも高級スーパーの開発が始まっており、西友は2001年11月、六本木にフード・マガジンをオープンして小型高級スーパーの実験を進めています。
食品業態が都心で活性化している背景が人口の都心回帰です。
66年をピークに減少していた東京都区部の人口は地価下落等を背景に96年に増加に転じ、95年から2001年の増加率は3.0%と全国平均の1.2%を大きく上回りました。
中でも高層マンションの開発が進んだ中央区、港区はこの間に15.1%も増加しています。
ところが、都内の食品売場は明らかに不足しているのです。
商業統計によれば、90年から99年にかけて全国の小売業売場面積が21.8%増加する中、東京都は16.5%増にとどまりました。
しかも、量販店の売場面積は90年から99年にかけてわずか0.6%しか拡大しフッシユ後の立地多様化ておらず、1000人当り売場面積は64.2%全国平均の6掛けにとどまっています。
東京都の一人当り所得は全国平均より3割以上も高く、食品スーパーが高級化/多様化しながら都心を目指すのも当然と言えるでしょう。
コンビ二銀座も多業態化するスーパーマーケットやドラッグストア、ホームセンターや衣料スーノf一、100円ショップ等の生活業態がしのぎを削る郊外住宅地に対し、アーバン住宅地の生活業態はコンビニエンスストアぐらいしか見当たりません。
すでに大半の業種店が壊滅し、コンビニにない商品はターミナルの繁華街まで買い出しに行くしかない消費砂漠と化しています。
生活ステーションとして進化を続けるコンビニエンスストアも食品が約8割を占めるミニSSMというのが実態で、ドラッグストアやホームセンタ一、衣料スーパーの役割は望むべくもありません。
取り扱っているカテゴリーでも、売れ筋集中の絞り込みMDのため品目選択の幅は極めて限られます。
コンビニ間の品揃えと利便性の競争はあっても競合業態がないから、価格競争もほとんどありません。
アーバン住宅地の生活者はコンビニという独占業態に依存して、実は不便で高くつく消費生活を強いられているのです。
人口の都心回帰が続く中、アーバン住宅地でもさまざまな消費ニーズが高まり、コンビニエンスストアでも化粧品やインナーウエアを付加価値型に切り換えたり、一部のコンビニではフリースジャケットやYシャツ等の衣料品も展開し始めています。
アーバン住宅地のコンビニ銀座には若い勤労者層が集中するにもかかわらず、化粧品や服飾雑貨、カジュアル衣料などを売る店はほとんどないからです。
しかし、売場面積が30坪前後に限られるコンビニエンスストアでは、化粧品等のHBA、衣料品や服飾雑貨、生活関連の品揃えを拡充するにも限界があります。
それらの分野において生活者があてにできる品揃えを求めれば、都市型のファッションコンビニやバラエC開郊外Sテイストアの登場を待たねばなりません。
世界恐慌下の米国ではアーバン住宅地に離農労働者が大量に流れ込み、ウールワースやクレスゲといったバラエテイストアが急成長を遂げましたが、デフレ不況下で人口の都心回帰が進む今日の日本の情況は当時の米国に近似しています。
当時のバラエテイストアは”ダイムストア“と呼ばれ(恐慌後のインフレで呼び名は消滅)、10セントや25セントといった均一価格で実用衣料と日用雑貨を幅広く品揃えしていましたから、取り扱いカテゴリーは多少異なるものの、ダイソ一等の100円ショップが都市型バラエテイストアへ進化していく可能性は極めて高いと思われます。
事実、今日の米国でもダラージェネラル、ダラーツリーといった1ドルショップが、衰退したアーバン商店街や郊外コンビニエンスセンター中心に一万店舗を大きく超えて増殖しています。
日本でも100円ショップのダイソーが従来のラインナップに菓子類や加工食品、化粧品や服飾雑貨、下着類や子供服なども加え、エンターテイメント・バラエテイストア的生活必需業態へと進化しつつあります。
キョウデン系の九九プラスが運営するショップ99は、コンビニエンスストアとバラエテイショップを複合した99円均一のコンビネーション・コンビニを184店展開し(2002年12月末)、長崎屋系衣料スーパーのサンバードと複合した24時間営業の300坪級大型コンビネーション業態の実験を開始しています。
多様化後の立地便性と圧縮陳列のエンターテイメント性で急成長した都市型コンビニエンス・デイスカウンターのドンキホーテも、90、150坪級コンビニエンス業態のピカソを開発しています(2002年11月末時点で8店)。
まだ、コンビニ型のホームセンターや衣料スーパーまでは開発されていませんが、このようなバラエテイストアや複合業態がコンビニ銀座に進出してくれば消費砂漠の不便さが解消され、アーバン住宅地商店街の活気も戻ってくるに違いありません。
恐らくは数年でさまざまな業態が出揃い、かなりの消費がターミナルから移動することになるでしょう。
残念なのはファッションビジネスの動きが少ないことで、ワールドのイッツデモが近似したコンセプトで試行錯誤するにとどまっています。
無印良品やしまむらがミニ業態を開発してコンビニ銀座に進出するようになれば、アーバン住宅地の消費は一変してしまうでしょう。
フランスのマリオノーの急成長等を正視すれば、そこに巨大なチャンスが眠っていることに気づいてもよさそうなものです。
個性的コミュニティの裏通りが栄える右肩下がりのデフレ経済が続く中、世情不安と生活防衛から人々の行動は身近な生活圏への回帰を強めており、アクセスに手間どり人混みに採まれる広域型の大型商業施設やターミナルは疎まれ始めています。
替わって評価されているのが、コミュニテイの人々が集う身近な商業施設や個性的な味わいがある小さなダウンタウンです。
前者は米国で急増中のライフスタイルセンターが当てはまりますが、アーバン型では機能を欲ばりすぎないで周辺商業とのオープンな交流性があることが魅力。
ということは、郊外住宅地のみならず、ロンドン/ノッテインクヒル・ゲートロンドン/ノッテインクヒル・ゲート住宅と商店が入り交じるような下町商店街の活性化にも役立つということです。
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